ゴルフの活性化をめざし生まれた地域密着型トーナメント 『ダンロップ・スリクソン福島オープン2014』開催レポート

ダンロップスポーツが、福島中央テレビ、日本ゴルフツアー機構と共に主催する男子レギュラーツアーの新規トーナメント「ダンロップ・スリクソン福島オープン」が、7月最終週にグランディ那須白河ゴルフクラブ(福島県西郷村)で開催されました。男子のツアー競技としては、16年ぶりに福島県で行われたこの大会。トーナメントウィークの会場の模様や誕生までの軌跡、さらに今後の展望までをご紹介します。

ゴルフ普及のためにプレイベントを開催

スーパースポーツゼビオでのプレイベントに参加した細川、額賀、石渡の各プロ
大会週の月曜日に行われた「ダンロップ・スリクソン福島オープン ジュニア大会」(上)。同日に開催されたスナッグゴルフ体験会で、ちびっこのプレーを笑顔で見守る藤本プロ
 ダンロップスポーツ(以下、DS)が、ゴルファーやプレー機会を増やすことを目的に2013年7月にスタートさせた「+G(プラス! ゴルフ)プロジェクト」。その第1弾として実施した、格安料金によるレッスンやクラブセットの1年間無料レンタルなどのサービスなどが受けられる初心者向けプロジェクト「ゴルフ・スタートアップ・プログラム」は、毎回競争率が5倍から8倍という高い人気を誇っています(2014年8月現在第3期生を募集中)。また第2弾「合宿免許deゴルフ」は、合宿型の運転免許教習とゴルフ練習場での無料レッスンをセットにしたユニークなもの。そして、同プロジェクトの第3弾が「ダンロップ・スリクソン福島オープン」なのです。
 競技に関しては、本選に先駆け6月に4回のアマチュア予選会と1回のプロ予選会を実施。7月中旬には、その上位者も出場した最終予選会「東北チャレンジ2014~ダンロップ・スリクソン福島オープンをめざして」を行い、アマ上位5名、プロ上位10名の計15名が本選への切符を獲得しました。
 また、見るだけでなく、よりゴルフに親しんでもらおうと、ゴルフ活性化イベント「ゴルフオープンキャンパス」を実施。まず7月13日に、DSの親会社である住友ゴム工業・白河工場で、白河市在住の小学生を対象に、中嶋常幸、谷福美プロが参加したスナッグゴルフ体験会とトークショーを開催しました。7月19日には、スポーツショップ「スーパースポーツゼビオ」メガステージ白河店で、石渡俊彦、細川和彦、額賀辰徳という3人のプロによるコンディショニング講座やワンポイントレッスン会を実施。店頭では、大会PRやチケット販売も行われました。
 そして、トーナメントウィークの月曜日(7月28日)には、福島県在住の小・中・高校生計45人が参加した「2014年ダンロップ・スリクソン福島オープン ジュニア大会」を開催。同じ28日の午後には、日本ゴルフツアー機構、ジャパンゴルフツアー選手会の主催により、地元・西郷村や近隣の天栄村の小学生96人が参加して「ゴルフで福島を元気に! スナッグゴルフ体験会in西郷村」が行われ、選手会長の池田勇太プロをはじめ小田孔明プロ、藤本佳則プロの3選手が、スナッグゴルフを通じて子どもたちとの交流を楽しみました。このように、ゴルフの魅力を紹介するさまざまなプレイベントを開催し、大会は本番を迎えました。

大会テーマは「ゴルフ活性化」「総事業費のスリム化」「地域密着」

大会の2週間前に住友ゴム工業白河工場で行なわれたスナッグゴルフ体験会で、子どもたちに指導する中嶋プロと谷プロ
1番ホールでティショットを放つ高橋竜彦プロ。事業費を抑えるため、ティフェンスを設けたのは5ホールのみ
大会の舞台となった「グランドエクシブ那須白河」は、JR新白河駅から車で約10分という好立地
 では、本大会はどのように生まれたのでしょうか。
 ゴルフの活性化のために、まずDSが目指したのは、男子ツアーが行われていない地域でのツアー競技開催でした。トッププロのプレーを間近で見て、ゴルフの素晴らしさやプロスポーツの厳しさを知ってもらうためです。同時に、コンパクトな運営によって事業コストを抑え、トーナメント開催に興味を持つ企業・地域のためのモデルケースとなることも目指しました。
 そのためにDSでは、昨年の夏から、ツアーが行われていない地域のオープン競技を対象に、ツアー競技化への交渉を開始。その結果、昨年まで19回開催されていた「福島オープン」が手をあげていただきました。決め手となったのは、県内に住友ゴム工業のタイヤ工場があり、従業員がボランティアとして参加できることや、行政とつながりがあったことなどでした。福島での開催が決まったことで、「東日本大震災からの復興に取り組む福島県を応援する」というメッセージも加えられました。
 さらに本大会が目標としたのが、地域と連携したトーナメントです。その実現にあたり、なくてはならない存在だったのが、前身の福島オープン開催の中核を担っていた福島県プロゴルフ会と福島中央テレビです。
 最終予選会までの5回の予選は、昨年までの予選の仕組みをそのまま活用したもので、その運営は従来と同様、福島県プロゴルフ会が行いました。また、同会ではスポンサー募集も自らの手で行っていたため、本大会でもその役割を継続して担いました。
 また、主催者の一つである福島中央テレビは、県内全域における行政や民間との強力なネットワークを生かし、多くの大会スポンサーを獲得したほか、大会PRも自社のテレビCMを使って行いました。それにより、本大会は地域密着型トーナメントとして浸透。両者の活動もあり、福島県内に本拠を置く100社以上がスポンサーとして参加し、大会をサポートしました。
 そして、大会の目標である事業コストを抑えるための独自の仕組みも取り入れました。たとえば、賞金総額を抑える、プロアマトーナメントは行わない、テレビ放送はローカル放送を中心といったものの他、運営コストの見直しも行ないました。
 グランディ那須白河ゴルフクラブを選んだのも、コースとしてのグレードの高さもさることながら、駅に近いためギャラリーの輸送コストが低い、スタジアム形状のホールが多くスタンドが不要、大会本部などの機能は附属ホテルの施設を活用できるためプレハブ小屋が不要などといった理由からでした。

大好評だった地元産野菜の無料配布サービス

青木、中嶋、井上、古閑という豪華なコーチ陣によって行われたジュニアレッスン会
地元白河で収穫されたばかりのトマトをギャラリーに無料配布する古閑美保プロ
優勝した小平智プロ。副賞の福島県産の桃に「大好物です!」と大喜びしたとか
 こうして装いも新たにスタートした本大会は、トーナメントウィークにも地域密着型トーナメントならではの仕掛けが随所に見られました。たとえば、最寄り駅のJR新白河駅とコースを結ぶギャラリー送迎バスは、白河市から無償で貸し出されたもの。白河市では、教育委員会や観光協会など多くの部署が大会を支援しました。
 ギャラリーにはうれしいサービスも待っていました。白河産のきゅうりやトマトの無料配布です。特に、ダンロップ契約プロを中心に結成された「福島オープンPRアンバサダー」の一人である古閑美保プロが配布を担当した決勝ラウンドの2日間は大きな人気を集めました。
 古閑プロは、スナッグゴルフ体験コーナーやジュニアレッスン会にも参加。また、プロコーチの井上透プロはジュニアレッスン会とワンポイントレッスンに登場。ジュニアレッスン会には、青木功プロ・中嶋常幸プロというビッグネームも加わりました。
 さらに土曜日のテレビ放映では、青木プロが解説者として、残念ながら予選落ちしてしまった中嶋プロがプレーヤーゲストとして出演。解説者としてのレジェンド二人の共演は史上初めてのことでした。
 肝心の競技は、初日にベテランの手嶋多一プロが8アンダーの「64」で飛び出すと、2日目、3日目は、日本ツアー参戦1年目のタイ人プレーヤー、T・クロンパ選手が首位タイに立つ健闘。雷雲発生による二度の競技中断を乗り越え、4日目の最終日を迎えると、3位タイからスタートした小平智プロが混戦を抜け出し、記念すべき初代チャンピオンに輝きました。小平プロに贈られた優勝カップは、福島オープンの歴代チャンピオンに敬意を表し、昨年まで使われていたカップを、プレートを差し替えて使用。副賞には、福島県、白河市、西郷村それぞれの特産物が贈られました。
 その最終日には、4500人を超えるギャラリーが会場に詰めかけ選手たちに声援を送るなど、盛況のうちに第1回大会を終えたダンロップ・スリクソン福島オープン。ダンロップスポーツでは今後も同様のコンセプトのもと、新しい形のトーナメントを目指して大会を開催していきたいとおもいます。どうぞご期待ください。

第1回大会を振り返って

「ダンロップ・スリクソン福島オープン」大会事務局長
安達利也(ダンロップスポーツ株式会社 広報部部長)
 4日間トータルのギャラリー数はおよそ1万1000人と、目標としていた1万3000人には毎日少しずつ及ばなかったものの、「思っていたよりギャラリーが多かった」「盛り上がった」という感想が多く聞かれました。ゴルフの活性化を目標にスタートした本大会ですが、地元・福島のみなさんにとっては復興支援のためのイベントでもあり、地域が一体となったトーナメントでもありました。そうした様々なメッセージが、いろいろな伝わり方をしたと感じますし、第1回大会としては成功だったと思っています。
 ただ、次回以降に向けての改善点も見つかりました。今回は時間的な制約もあり、大会PRやスポンサー集めは福島の県南が中心になりましたが、来年以降は、県全体で盛り上がるよう、県全体で支える試合にしていく必要があります。また、大会として、ゴルフの活性化を目標に掲げている以上、具体的な成果を上げたいと考えています。長期の課題になりますが、たとえば、スナッグゴルフの大会が福島県内で始まるとか、中学校に新たにゴルフ部ができる、あるいは県内の高校のゴルフ部が全国大会で優勝するなど、目に見える成果が上がるよう、大会としてサポートしていきたいですし、それができて初めて大会が成功したと言えると思います。