第125回 青木 瀬令奈

想像以上に最高の瞬間だった初優勝。世界で戦うためにもっと自分を高めていきたい

祝・ツアー初優勝! 青木瀬令奈プロが栄冠までの軌跡を振り返るとともに、今後の目標について語ります。

笑顔でいることで優勝争いの中でも身体が動いた

 みなさん、こんにちは。青木瀬令奈です。おかげさまで先日の「ヨネックスレディス」でツアー初優勝を飾ることができました。応援してくださったみなさん、本当にどうもありがとうございました。

 ご存知のように、あの試合では初日の天候が悪くて、私は3ホール目のティショットを打ったところで競技が中止になりました。翌日改めて行われた第1ラウンドも雨と風がすごくて、レインウエアを着ていても寒くて。ただ無心でピンに向かって打っていたので、ゴルフというよりサバイバルみたいな感じでしたね(笑)。ただ、そんな風雨の中でも身体の動きは悪くなかったのでショットは曲がっていませんでした。スコアは2オーバーの「74」でしたが、13位タイというのは悪くない位置だなと思っていました。

 そして最終日は、最終組の5つ前の組でスタートしたのですが、優勝争いはまったくと言っていいほど意識していませんでした。あの日の朝は荷物をまとめるのに手間取ってしまって、練習場に着いたのはスタートの40分前。それぐらいバタバタしていたんです(苦笑)。練習場では、コーチ(注:キャディも務める大西翔太氏)と「前日強風の中でプレーした割にはスイングが崩れていないね」「パットも今日は風の影響を受けないから大丈夫だね」という話はしましたが、スタートした時も順位は頭にありませんでした。

 初めて優勝を意識したのは15番のティグラウンドです。そこから18番ティにあるボードが見えるのですが、自分が4人いる首位タイの一人だと分かりました。それを見て、「思ったより後続の組が伸びてないな」と思いました。そして、「残り4ホールで2つバーディを獲れれば、優勝もあるかも」というイメージが沸いたんです。18番(パー5)は獲るとして、それまでの3ホールのどこか1つで獲りたいと思いました。そして迎えた16番のパー3では、ピンの右のカラーからのバーディパットが入りました。あのパットが一番の勝因かもしれません。

 あとから映像を見たら、優勝争いの中でも自然に笑顔が出ていました。それは過去の優勝争いではなかったことで、笑顔でいることで身体がスムーズに動いたのだと思います。それに、同伴競技者にも恵まれて、最後までみんなで会話をしながらプレーしていました。

 18番のバーディパットが決まった時には「勝ったかな?」と思ったけれど、「まだ確定じゃないから」と自分に言い聞かせました。ただ、自分のゴルフと順位は納得がいくものだったので、そこで一度ウルッと来て。さらにグリーンサイドに親友の成田美寿々(プロ)がいるのが見えたら、涙が一気にブワッと。優勝が決まった瞬間は・・・、プロなら誰でも初優勝の瞬間を夢見ますよね? 私も、最終日・最終組でウイニングパットを決めてとか、先に上がって後続を待ってとか、いろんなパターンをイメージしていたのですが(笑)、想像していた以上に最高の瞬間でした。

大活躍してくれた『ゼクシオ ナイン』ドライバー&9W

 あの試合では、ゼクシオやスリクソンの道具もすごく活躍してくれました。私の場合、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティと、ウッド系を7本バッグに入れているのですが、今年は少しセッティングを変えているんです。まず、ドライバーは去年と同じ『ゼクシオ ナイン』ですが、コーチと話をして、長さを半インチ短くしました。普通は長いほうが飛ぶと思いますよね? でも私の場合、短くしたことで振りやすくなってミート率が上がり、逆に飛距離が伸びたんです。スピン量は増えましたが、その分キャリーが出るようになりました。以前は、ドライバーのキャリーは205ヤードぐらいだったのですが、最近はキャリーが220ヤードは必要なバンカーも超えるので、すごく楽になりましたね。

 そのドライバーと同じくらい活躍してくれたのが『ゼクシオ ナイン』の9Wでした。私は去年までスリクソンの『H45』『H65』という、新旧2本のU5を入れて5ヤードの差を打ち分けていたのですが、今年は、コースによっては7WとU5のあいだを埋めるクラブを入れようという話をコーチとしていました。具体的には、風が強いコースならU4、グリーンが硬い時には9Wを使うイメージで、あの試合は練習ラウンドでグリーンが硬いと感じたので9Wで行こうと。そうしたら本番では大活躍で、グリーンの奥行きが狭い14番のパー3では、2日間ともノープレッシャーで打てて2回ともバーディチャンスについたんです。

 最終日には、ボール(『スリクソン Z-STAR XV』)もメッチャ気合が入っていて(笑)、キラキラ光って見えました。打った瞬間にOBだと思ったショットが一度あったのですが、木に当たって戻ってきてくれて。また、先ほどの16番パー3のティショットも、右に出て「ちょっと危ないな」と思ったショットが、しっかり飛んで止まってくれました。本当にボールにも助けられましたね。

 勝ったあと、コーチからは「おめでとう。よかったね」と言われましたが、帰りのクルマの中では、優勝の余韻に浸りつつも、「これからが勝負だし、2勝目、3勝目するにはどうすればいいか」という話になりました。そして、「今日のプレーをいま振り返っておこう」という話になり、18ホールを二人で回想したんです。「あのホールの2打目はどんな感触だった?」「フェースの先だったけど下じゃなかった」とか、すごく細かく(笑)。

 コーチは、「これを私に伝えたら100%よくなる」という確信が持てない限り、言って来ないタイプなんです。練習メニューにしてもそうで、私はどちらかというとヒントをもらって考えたいので、不安になって、「どこか変えたほうがいいところはない?」と聞くと、「言いたいことはあと7つあるんだけど、今はその時期じゃないから」と。「7つ? まあまああるな」と思うのですが(笑)、私の身体と心が100%の状態でないと、言っても身につかないと考えているみたいで。とにかくコーチの中ではまだ私は発展途上なので、二人で一緒にいろいろ試行錯誤しています。

今度は3日間か4日間をしっかり戦って勝ちたい

 今年のオフは、生まれて初めてと言っていいほどトレーニングに力を入れました。私は元々トレーニングがすごく嫌いなので(苦笑)、「これだけやって勝てなかったら、もう一生トレーニングはしない!」と思いながら頑張りました。開幕2戦目で、初日に7アンダーというスコアが出せて、優勝争いができたのは、オフのトレーニングの成果だなと思ったのですが、それからは2戦連続で予選落ちしたりして苦しみました。

 コーチは「去年の同じ時期にくらべたら稼いでるよ」と言うものの、私は「全然稼げていない」という気持ちが強くて、予選落ちした後は「このままだとシードも危ない」と焦っていたんです。でも、そんな時にコーチが「今年は絶対に勝たせるから大丈夫だよ」と言ってくれたので、「そう言ってくれるなら頑張ろう」と思えたんです。その後、微熱が何週間も続いて、一回休もうかとも思ったのですが、観戦を楽しみにしている方や私のことを気にかけてくださる人たちのためにも、出られるなら出ようと決めました。そうして迎えた5月最後の試合で、2ヵ月半ぶりに久々にトップ10(7位タイ)に入った時には本当にホッとしたし、あれが大きかったなと思います。

 優勝できたことで、ずっと出たかった最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」に出られることになって本当によかったです。去年は、本当に一年のうちの一打の差で出場できず、すごく悔しい思いをしたから。でも、出られないと決まった翌日にトラックマンを買うと決めたので、あの悔しさがあったから優勝できたのかなとも思います。

 最終戦に行くという今年の目標は達成できましたが、今回は残念ながら短縮競技になってしまったので、今度は3日間か4日間をしっかり戦って勝ちたいですね。試合が長くなればなるほど課題や甘さが出てくるので、それを克服していければいいのかなと思います。そして、将来的には世界で戦うのが私の目標です。それには、国内で10勝できるぐらいの実力がないと通用しないと思うので、ここで満足することなく、もっと自分を高めていけたらと思っています。

青木 瀬令奈(あおき・せれな)
1993年群馬県生まれ。
小学2年でゴルフを始め、中学1年時に国内女子ツアー「大王製紙エリエールレディス」に出場。その後「全日本女子パブリックアマチュア」などで優勝し、2011年プロテスト合格。15年ツアーに初めてフル参戦し、同年から2年連続でシード権を獲得。身長153センチ、血液型O。
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