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クラブデザイナー松尾好員氏による甘辛ギア評論 松尾好員が斬る!
VOL.82

『ゼクシオエイト』アイアンを検証する


 2000年に登場した初代『ゼクシオ』から14年が経ち、今年は8代目の『ゼクシオエイト』アイアンの登場となります。この14年間、『ゼクシオ』アイアンは、常に販売1位を続けているスーパーアイアンです。『ゼクシオエイト』アイアンもすでに多くの方が使用されているかと思いますが、私なりに詳しく検証してみました。(実測データは別表参照)

1) 球をつかまえるイメージで、素直に構えられるヘッド
ゼクシオ エイト アイアン  基本的なこととして、『ゼクシオエイト』アイアンはフェースが大きく(長さも高さも)、アドレスしたときにフェース面がよく見えるので、ストロングロフト仕様にもかかわらず、とてもやさしそうに感じます。そして、強めのグースネックと丸いトップラインで、球を包み込むようなイメージが出ています。
 こうしたやさしいイメージのヘッドは過去の『ゼクシオ』アイアンから踏襲されているもので、インパクトで打点が多少ばらついても、大きなミスなく上手く球が飛んで行ってくれます。
   
2) ヘッドの大きな慣性モーメントと低重心が融合されたヘッド
 『ゼクシオ』アイアンは長年にわたり、完成された設計技術によって作られていますが、今回の『ゼクシオエイト』も前『ゼクシオセブン』に比べて、低重心化を維持しながらヘッドの慣性モーメントを大きくするという難しい問題を上手く処理しています。
 『ゼクシオ』ユーザーの多くは、アイアンをスウィープにスイングして、上手く球だけを拾うタイプの人が多いと思いますが、低重心設計でよりスイートスポットに当たりやすく、少し当たりが薄いミスショットでも大きな問題がなく、球が飛んで行きます。
   
3) 高度な設計と製造技術で作られるヘッド
 『ゼクシオエイト』アイアンは、4番から7番までがネックとソール一体型のタングステンニッケル合金パーツが使用され、フェース面下部の反発性能が上がっています。これにより、低重心化とアベレージゴルファーに多いややハーフトップ気味の薄めのショットに対応しています。
 チタンフェースとステンレス本体、そしてネック・ソールのタングステンニッケル合金を使う高度な設計だけでなく、高度な製造技術、品質管理が『ゼクシオエイト』を支えています。
   
4) スチールシャフトでも球がつかまり、高弾道が打てる
 今回の『ゼクシオエイト』では、個人的に新しく装着された軽量スチール「N.S.PRO 900GH DST for XXIO」に注目しています。
 『ゼクシオ』が6代目から7代目になるときに、950gから920gへと軽量化され、かつ、シャフトの中間部が軟らかくなったことで、スチールシャフトでも球をつかまえやすく、かつ高弾道のショットが打ちやすくなりました。
 今回の『ゼクシオエイト』でも同様の考え方で900gとさらに軽量化され、かつ、より手元側へ重心を移動させたことにより、前『ゼクシオセブン』の920gよりも先側〜中間部にかけてより軟らかくなり、「スチールシャフトは無理!」と考えるシニアの方にも十分使える軽量スチールになっています。
 もちろん、カーボンシャフト「MP800」が『ゼクシオエイト』アイアンの主流だと思いますが、軽量スチール「900GH」シャフトも十分選択肢の1つに入ってきたと思います。
   
■松尾好員の辛口トーク

1) ダウンブローに打つとちょっと抜けが悪い
 『ゼクシオ』のターゲットゴルファーは、あまりソール面を使わないスイングの人が多いと思いますが、逆にある程度ダウンブローに打てる人にとっては、ソールの抜け感が前『ゼクシオセブン』よりもやや良くないように感じます。
 個人的には、本当はバンス角があるほうが飛距離も出るので、もう少しバンス角とソール面の丸みが欲しいところです。いかがでしょうか?
   

XXIO8 アイアン 実測値
#5 #7 #5 #7 XXIO7 #5 XXIO7 #7
MP800-S MP800-R NS900-S NS900-R MP700-S NS920-R
クラブ長さ inch 38.0 37.0 38.0 37.0 38.0 37.0
クラブ重さ g 358.3 365.0 397.2 402.8 360.4 404.7
スイングウエイト   C9.8 C9.0 D2.5 D1.5 D0.0 D1.4
クラブ慣性モーメント gcm² 263万 258万 274万 269万 263万 269万
 
ヘッド重さ g 250.2 264.0 ---- ---- 250.4 264.0
リアルロフト deg 24.5 30.0 ---- ---- 24.2 30.2
ライ角 deg 61.0 62.0 ---- ---- 60.4 61.5
フェースプログレッション mm 1.5 2.4 ---- ---- 1.4 2.2
ソールバンス角 deg -0.5 0.0 ---- ---- -1.0 0.0
 
重心距離 mm 40.7 39.8 ---- ---- 39.6 39.7
重心深度 mm 4.0 3.1 ---- ---- 4.5 3.7
スウィートスポット高さ mm 19.8 20.4 ---- ---- 19.9 20.1
 
ヘッド左右慣性モーメント gcm² 2,796 3,041 ---- ---- 2,800 2,952
ヘッド上下慣性モーメント gcm² 612 696 ---- ---- 605 657
ネック軸回りモーメント gcm² 6,367 6,697 ---- ---- 6,123 6,596

※このデータは、松尾好員氏による測定結果です。測定方法の差異により、当社の公表値と異なる場合があります。


松尾好員(まつお・よしかず)
1957年 大阪生まれ
1975年 三国丘高校在学中に第一回関西ジュニアゴルフ選手権優勝。
1980年 神戸大学工学部卒、同年住友ゴム工業(株):ダンロップに入社し、以来、ゴルフクラブの開発 に携わる。ツアープロ用のクラブの設計も数多く行い、開発した主なプロはS・バレステロス、I・ウーズナム、D・フロスト、M・マッカンバー、T・リーマン、D・グラハム、F・ゼラー、H・サットン、N・プライス、青木功、加瀬秀樹、宮瀬博文ら多数のPGAプロ。
1995年 震災で人生観が大きく変わり、より深くゴルフクラブのことを勉強する為に独立を決意。
1996年 4月に住友ゴムを退社。同年5月に有限会社ジャイロスポーツを設立し、ゴルフクラブの設計を手掛け現在に至る。