Vol.86

『ゼクシオ ナイン』ドライバーを検証する

2000年に登場した初代モデルから、日本で最も多くのゴルファーに支持され続けているゼクシオですが、早いもので今回が9代目になりました。ユーザーの中には、初代発売当時50歳台で、今は既に定年を迎えたものの、まだまだゴルフを楽しんでおられるという方も多いと思います。ゼクシオは2年ごとにモデルチェンジされ、その時代時代に合った進化を遂げてきていますが、今回もまずはドライバーから私なりに詳しく検証してみることにしました。(実測データは別表)
  1. クラブとして大きく進化
     以前にも書きましたが、私の個人的な感想では、14年前の2代目、8年前の5代目、4年前の7代目の3つのゼクシオの完成度が高く、近年では奇数世代の完成度が特に高いのではないか、と感じています。一般的にクラブメーカーのモデルチェンジと言うと、ヘッドに偏る傾向がありますが、ゼクシオはクラブ全体として考えられており、特にシャフトは自社で開発・生産していることもありますが、非常に良く吟味されています。
     そして、今回の9代目『ゼクシオ ナイン』ドライバーですが、簡潔に結論を述べると、「8代目よりも球がつかまり、平均飛距離が伸びる進化」と言えそうです。具体的には、前「ゼクシオ エイト」に比べて、ヘッドとしてはやさしく進化し、シャフトの中身が変わったことにより、より球をつかまえて飛距離を伸ばしやすくなったと思います。
  2. シニアゴルファーでもしっかり振り切れるクラブ
     クラブ長さを見ると、5代目は45.75インチ、6代目は46.0インチ、そして7代目以降は45.5インチとなり、「シニアゴルファーには、45.5インチの長さが最も安定して飛距離を伸ばしやすい」というのがダンロップの結論だと推測できます。
     これを読んでおられる、ギアに興味のある読者の方ならば良くご存じだと思いますが、クラブの重さを多少軽くしても、クラブ長さを長くするとクラブ全体の慣性モーメント値が大きくなり、クラブは振りにくくなっていきます。『ゼクシオ ナイン』のクラブ総重量は270グラム台と非常に軽く、数値だけを見ると、「もしかして頼りないのでは?」と思われるかもしれませんが、実際には45.5インチの長さと重さのバランスが取れており、アクティブゴルファーはもちろん、シニアゴルファーもタイミング良くスイングしやすくなっています。
  3. ヘッドは重くなってパワーが上がり、しかもクラブは振りやすく
     一般的にクラブメーカーは、クラブ長さを46.5インチとか47インチ等の長尺にする場合、ヘッドを180グラム台まで軽くして、スイングウエイトが大きくなり過ぎないように設定します。しかし、ヘッド重量を軽くすると、ボールに伝わるエネルギー量が下がり、長尺によりヘッド速度を約1m/s上げる割にはボール初速が上がらず、その結果、期待するほど飛距離は出ないものです。実際、数年前にも47インチを越えるような長尺ブームの再燃もありましたが、装着ヘッドのパワーがそれほどなかったために、結局期待ほどボールは飛ばなかったのです。
    『ゼクシオ ナイン』のクラブ長さは8代目、7代目と変わりませんが、シャフトとグリップの改良により、ヘッド重量が重くなってパワーアップし、しかも振りやすいクラブを実現しています。
  4. 広い反発エリアで平均飛距離もアップ
     高度なコンピューター解析により、先代モデルに比べてより広い反発エリアが達成されていて、特にフェースのトゥ側、ヒール側に反発が高くなっています。そのため、多くのアベレージゴルファーが経験する、打点をトゥ側やヒール側に外したミスヒットでも、より広範囲で速いボール初速が実現でき、高い平均飛距離が維持できます。
  5. 球をつかまえて飛ばす標準シャフトと、より安定感の高い「Miyazakiシャフト」
    「ゼクシオ セブン」に装着されたMP700以来、先代モデルのMP800、さらに今回の『ゼクシオ ナイン』の「MP900」と、ゼクシオのシャフトは、軽量化としなり特性の改善だけでなく、反発が良い重めのヘッドを装着するために、手元重心化についても改善され続けています。
     今回の「MP900シャフト」は、前シャフトよりも、さらに手元側に重心点を移したことで、より重いヘッドを装着しながらも振りやすく、しかも球をつかまえやすくなるように設計されています。ゼクシオの良い点はヘッドの進化だけでなく、シャフトも着実に進化させていることにあるのです。
     また、『ゼクシオ ナイン』では、6代目以来、久しぶりに重めでしっかり系の「Miyazakiシャフト」が追加されたのもうれしいことです。この「Miyazakiシャフト」仕様では、クラブ総重量が約300グラムとなり、ヘッド速度45m/sくらいで、ある程度しっかりスイングできるゴルファーには、タイミング良くスイングしやすくなっています。
  6. 際立つクラブとしての安定性能
     今回、9.5度で「Miyazakiシャフト」のS、10.5度で「MP900シャフト」のSRとR、11.5度で「MP900シャフト」のRという各仕様を試打する機会を得ました。
     そして驚くことには、私にはクラブが軽くシャフトも軟らかいと思える10.5度のSRを打っても、最初の1球目から球のつかまったナイスショットが出ました。
     さすがゼクシオ、クラブとしての完成度の高さを感じます。
     個人的には9.5度の「Miyazakiシャフト」のS仕様が最も飛距離が出ましたが、それぞれのゴルファーが中・高弾道(ただし弾道が高過ぎるとランが出ない)で打てるロフト角を選択して、やや硬めのシャフトを選ぶと、よりインパクトが安定すると思います。

松尾好員の辛口トーク

“プライム化”したクラブ総重量は軽過ぎるのでは?

 今回の『ゼクシオ ナイン』は、シャフト特性により、先代モデルよりも球がつかまった弾道を打ちやすく、確かに飛距離は出やすいと思います。
 しかし、クラブの総重量は270グラム台で、既に「ゼクシオ プライム」ユーザー向けの重量にまで軽くなっているように思えます。今回、多くの60歳台、70歳台のシニアゴルファーにも『ゼクシオ ナイン』を試打してもらいましたが、「スイングの安定感を得るには、もう少し重いクラブの方が良い」という意見も多く聞かれました。
 また、シャフトは手元重心設計ですが、クラブとしてより手元重心設計を狙うならば、超軽量グリップよりも標準重量のグリップにした方がよいのでは、と思いますし、クラブ総重量の数値にこだわり過ぎる必要はないように感じています。
 冒頭にも書きましたが、個人的に私は奇数世代のゼクシオが好みなのですが、次期10代目モデルでは、どのようにヘッドやシャフトを進化させてくれるのか、今からダンロップの技術陣に大いに期待したいと思います。

『ゼクシオ ナイン』ドライバー 実測データ

  9.5度-S 10.5度-R 11.5度-R XXIO8
9.5度-S
XXIO8
10.5度-S
XXIO8
11.5度-R
Miyazaki MP900 --- MP800 MP800 MP800
クラブ長さ inch 45.5 45.5 --- 45.5 45.5 45.5
クラブ重さ g 299.3 271.1 --- 275.2 274.9 269.6
スイングウエイト   D3.8 D4.0 --- D4.0 D4.1 D2.8
クラブ慣性モーメント gcm² 294万 287万 --- 286万 287万 284万
 
ヘッド重さ g 198.3 197.1 197.1 195.0 195.0 194.9
ヘッド体積 ml 459 459 460 459 458 460
リアルロフト deg 10.2 13.0 13.6 11.2 12.6 13.7
ライ角 deg 58.5 59.5 58.5 59.0 58.5 59.0
フェース角 deg HOOK 1.0 HOOK 1.5 HOOK 2.0 HOOK 1.0 HOOK 1.5 HOOK 2.0
フェースプログレッション mm 18.9 20.4 21.2 20.5 20.7 22.0
 
重心距離 mm 39.6 40.7 39.9 38.8 38.9 39.4
重心深度 mm 41.5 41.6 42.4 40.0 39.7 40.6
フェース高さ mm 51.8 52.0 52.6 52.8 53.0 53.0
スウィートスポット高さ mm 32.2 34.4 34.9 33.6 34.4 34.9
低重心率 62.2 66.2 66.3 63.6 64.9 65.8
 
ヘッド左右慣性モーメント gcm² 4,553 4,518 4,484 4,452 4,335 4,373
ヘッド上下慣性モーメント gcm² 2,877 2,777 2,750 2,828 2,715 2,722
ネック軸回りモーメント gcm² 7,400 7,381 7,035 7,144 6,936 7,074