Vol.85

『スリクソン Zシリーズ(2014年モデル)』アイアンを検証する

『スリクソン Zシリーズ(2014年モデル)』ウッド同様に、新しいZアイアンが2014年9月に発売されて既に世界のツアープロに愛用されており、その性能は証明されています。ドライバーやフェアウェイウッドと同様にじっくり検証してみることにしました。(実測比較データは別表)
  1. 3タイプのヘッドが同時に登場
     ドライバーと同様に、一度に3タイプのヘッドが登場し、自分の好み、求める弾道、プレースタイルに合わせて選べるようになっています。分かりやすく簡単に説明しますと、『Z945』→『Z745』→『Z545』の順にフェースの長さが長くなり、同時にソールの幅も順に広くなって、『Z945』→『Z745』→『Z545』の順にやさしいイメージが出ています。
     また、#7アイアンでのロフト角は『Z945』→『Z745』→『Z545』の順に1度ずつ立っており、順に飛距離を出しやすくなっています。例えば、ある距離のパー3でティーショットを打ちますと、『Z945』ではグリーンの手前に乗り、『Z745』ではセンターに乗り、『Z545』ではグリーンの奥に乗ると言うイメージと理解すればいいでしょう。
     そして、キャディーバッグに入った時のイメージでは、格好いいマッスルバックの『Z945』、落ち着いた雰囲気の『Z745』、ポケットキャビティーでやさしそうな『Z545』と言う感じです。
  2. 打感と操作性が抜群の『Z945』
     アドレスした時の印象は、世界に通ずるマッスルバックと言う感じで、フェース形状だけでなく、ネックからリーディングエッジにつながる形状もとても美しく仕上がっています。勿論マッスルバックなのでフェースの長さが最も短く、ソールの幅も狭いですが、アイアンとしての機能、つまりどの様な弾道で、何ヤードキャリーさせるかなど、プレーヤーの意図に十分に答えてくれる機能を持っています。
     そして、マッスルバックは、球を打つ打面の肉厚が最も厚いのでいわゆる芯を食ったときの「抜ける様な軟鉄の打感」を最も感じやすくなっています。また、ヘッドのネック軸回りの慣性モーメント値も最も小さく、基本は球をつかまえやすいですが、一方ではドローやフェード、弾道の高低など、インテンショナルに弾道をあやつりやすくなっています。確かにアベレージゴルファーでは見た目の難易度は高いかもしれませんが、ダウンブローに打ってターフを取ると言ったアイアン本来の機能を感じるには最高の道具です。
  3. バランス感覚に優れた『Z745』
     フェースの輪郭形状は『Z945』と似ており、スリクソンらしく落ち着いた形状と、『Z945』よりもわずかなグースネックでアドレスしやすくなっています。
     アベレージゴルファー向けのモデルのような大きなフェース、幅の広いソールではありませんが、むしろヘッドの操作性や軟鉄の打感など、競技ゴルファーだけでなく、これから上を目指すアベレージゴルファーが、良いスイングを身につけて行くためにもとても良いアイアンと言えます。『Z945』よりもアドレスでのやさしいイメージと少し飛距離も欲しい、軟鉄の打感も欲しい、と言う欲張りなゴルファーには特にお勧めです。
  4. やさしさと飛距離が魅力の『Z545』
     3つのモデルの中で、最もフェースが長く、最もソールの幅が広く、また、少しグースネックで球をつかまえるイメージが出ています。
     つまり、アドレス時の「上手く打てそうな安心感」が最も高いと言うことになります。
     3つの中では最もストロングロフト設定なので、飛距離重視設計でもあることが分かります。そして、フェースには一般に軟鉄の約3倍の硬さ、強さを持つクロムバナジウム鋼が使われ、薄肉フェースで反発性能が高く感じられます。
  5. 新開発シャフトでヘッドスピードアップ
     前「Z25」 モデル同様に、スチールシャフトで手元重心設計されたシャフトは特徴的です。まず、ダイナミックゴールド D.S.T. シャフトですが、シャフトの先側の重量を手元側へ移動し、その結果、クラブ慣性モーメントが減少し、振りやすくなっています。また、N.S.PRO 980GH D.S.T. スチールシャフトも同様に、シャフトの先側から中間部までの細い部分をより長く取り、重量配分を先側から手元側へ移動させることで、手元重心化が達成されています。
     試打したフィーリングでも、両者とも球が上がりやすく、フレックスも先側から中間部が軟らかめに感じられます。特に「980GH D.S.T.」は、一般に広く普及している「950GH」よりもシャフト重量自体は少し重いわけですが、逆に軟らかめのやさしいシャフトになっています。
     そして、ツアープレミアムシャフト Miyazaki Kosuma Blue Iron カーボンシャフトですが、「980GH D.S.T.」に比べてクラブの総重量が約19グラム軽くなって振りやすいですので、ヘッド速度が上がり、その結果弾道が高く上がりやすくなっています。
  6. 抜けが良い「ツアーV.T.ソール」採用
     スリクソンファンならご存じかもしれませんが、以前から何人かのツアープロが採用していたV字型のソールが今回のシリーズに採用されました。
     強めのダウンブローに打つ時やアップヒルでのライでのソールの抜け感を大事にしています。
  7. レーザーミーリングによる安定したスピン
     加工精度の高いレーザーミーリングが角度を変えて2度施されています。
     雨天時やラフからのショットなど、安定したスピン性能が得やすくなっています。

松尾好員の辛口トーク

  1. 『Z545』のネック形状が『Z745』のようにならないかな・・・
     『Z945』や『Z745』のネック形状と『Z545』のネック形状が違います。
     『Z545』のフェース形状は良いので、ネックの左側からリーディングエッジにつながる形状を『Z745』と同じようにしてもらえれば最高です。
  2. セットとしてグリップに統一感が欲しいが・・・
     3つのアイアンのグリップにはツアーベルベットのバックライン有りが採用されていますが、ウッド系とは違うグリップ仕様になっており、打っていてグリップの違和感を感じてしまいます。ウッドからアイアンまで、ひとつのセットとしての統一感が欲しいところです。

SRIXON NEW Z アイアン 実測データ

  Z945 #5 Z745 #5 Z745 #5 Z545 #5 Z545 #5
DG S200 DG S200 NS980 S NS980 S 水BLUE 8S
クラブ長さ inch 37.88 37.88 38.13 38.13 38.13
クラブ重さ g 419.7 420.0 407.1 405.5 388.5
スイングウエイト   D2.2 D2.2 D2.0 D1.6 D1.0
クラブ慣性モーメント gcm² 276万 276万 275万 274万 270万
 
ヘッド重さ g 257.0 254.3 254.3 255.7 255.7
リアルロフト deg 26.0 25.0 25.0 24.0 24.0
ライ角 deg 60.7 61.0 61.0 61.0 61.0
フェースプログレッション mm 4.3 4.1 4.1 3.9 3.9
 
重心距離 mm 33.7 35.2 35.2 35.5 35.5
重心深度 mm 1.8 2.5 2.5 3.7 3.7
スウィートスポット高さ mm 20.5 20.6 20.6 21.1 21.1
 
ヘッド左右慣性モーメント gcm² 2,132 2,200 2,200 2473 2473
ヘッド上下慣性モーメント gcm² 546 539 539 617 617
ネック軸回りモーメント gcm² 4,502 4,725 4,725 4,977 4,977

  Z945 #7 Z745 #7 Z745 #7 Z545 #7 Z545 #7
DG S200 DG S200 NS980 S NS980 S 水BLUE 8S
クラブ長さ inch 36.88 36.88 37.13 37.13 37.13
クラブ重さ g 435.6 433.7 419.2 419.9 401.0
スイングウエイト   D2.2 D1.7 D2.0 D2.2 D0.8
クラブ慣性モーメント gcm² 274万 273万 272万 273万 267万
 
ヘッド重さ g 269.2 269.5 269.5 267.4 267.4
リアルロフト deg 33.2 32.0 32.0 31.0 31.0
ライ角 deg 62.0 62.0 62.0 61.7 61.7
フェースプログレッション mm 5.0 4.3 4.3 4.0 4.0
 
重心距離 mm 33.7 35.4 35.4 35.9 35.9
重心深度 mm 0.7 1.0 1.0 2.3 2.3
スウィートスポット高さ mm 20.2 20.5 20.5 21.1 21.1
 
ヘッド左右慣性モーメント gcm² 2,252 2,330 2,330 2560 2560
ヘッド上下慣性モーメント gcm² 595 588 588 657 657
ネック軸回りモーメント gcm² 4,845 5,085 5,085 5,415 5,415